起業合宿に参加
「人生変えたい!」
その一心で私は起業合宿に参加した。
自分が動かなければ何も変わらない。
ただそれだけは分かっていた。
いや、そんなことさえ分からずに無我夢中でもがいていただけだったのかも知れない。
場所はマレーシアのジョホールバルという所だった。
海外旅行に1人で行ったこともない私には何もかもが初めて尽くしだった。
けれども、私には不安も迷いもなかった。
それだけ人生に必死だった。
それだけこの起業合宿に懸けていたのかも知れなかった。
集まったのは顔も名前も知らない起業家を目指す男女11人。
その誰もが一癖も二癖もありそうな面々だった。
私も彼らにそう見られていたのかもしれない。
合宿期間は1週間。
その1週間で私は人生を変えようと思っていた、そうなるものだと信じていた。
アズぴょんは参加者の中で2人だけの女性参加者だった。
そういう事もあってアズぴょんとは自然と仲良くなっていった。
アズぴょんは企画者の玉森さんの事が好きだとすぐにわかった。
それは私も玉森さんの事が好きだったからだ。
女の勘というのは結構鋭い。
私はアズぴょんと同じ部屋になったが、同じ男性を好きな者同士が1つの部屋になって、ちょっと気まずい思いがしていた。
皆それなりにこの合宿を有意義なものにしようとブログの作成に励んだ。
玉森さんはそんな彼らのコンサルティングをしてくれていた。
ナンパ師組は海外ナンパに出かけて楽しんでいた。
私も初めての海外合宿だったこともあり、観光を楽しんでいた。
「私、観光以外何もやってない!」
そう気づいたのは他の皆が曲がりなりにも起業合宿を自分のものにしていたからだった。
私はそう思うと大きな不安と焦燥感に煽られ、気持ちが押しつぶされそうになり皆んながいる前で突然泣きだしてしまった。
何をやったら稼げるんだろう。
何をやったら成功するんだろう。
いや成功ってそもそも、どういうことだろう。
何をやったらいいのか分からなかった。
私はこの起業合宿に参加しさえすれば自分には輝かしい未来が待ってるものだと思っていた。
何をやるべきなのかが分かるものだと思っていた。
でも実際は全く違った。
そう思って私は玉森さんに訊いた。
「私は何やったらいいんですか?」
しかし、玉森さんは言った。
「何をやるかは自分で探すんだ」と
私は愕然とした。
私には何をやったらいいか分からなかった。
そして、それは自分でしか探せないのだと、この起業合宿で学んだ。
私は自分が何ができるのかまだ分からなかったが帰国後すぐに会社に退職届を出した。
この小説は逢坂純(おうさかあつし)さんい書いてもらいました。